◆就労ビザについて◆
◆就労ビザとは?
日本で報酬を得る活動(=仕事)をするためには、就労できる在留資格が必要
で、それらの在留資格をまとめて、通称【就労ビザ】と呼ばれています。就労のためのビザといっても、従事する業務の内容によって、細かくその種類が分けられていて、それぞれの在留資格取得に必要な要件も異なります。
現在、日本で定められている就労系(就労ができる)の在留資格には、
「高度専門職」「教授」「芸術」「宗教」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「興行」「技能」「技能実習」「特定技能」「介護」「特定活動(46号)」
があり、
このいずれにも該当しない場合は、就労活動を主な活動として、日本で就労することはできません。
また、従事する業務の内容によって在留資格の種類も変わってくるため、
転職をしたり、企業内で異動をしたりして、従事する業務の内容が変更になった場合は、「在留資格変更許可申請」を行ってビザの種類を変更したり、
同じ在留資格の種類内での業務の場合は、「就労資格証明書交付申請」を行って、新しい業務が当該在留資格の活動範囲内のものであるかどうかの確認を行う必要が出てきます。
なお、各”就労のための在留資格”の概要及び従事できる業務内容は、以下のとおりです。
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◆就労のための在留資格の種類
在留資格の種類 | 概要と従事できる業務内容 |
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【高度専門職】 | 学術研究活動、技術活動、経営管理活動において高度及び専門的な活動を行うもので、学歴・職歴・年収などによってポイント制で評価され、 一定の合計点に達すると付与される在留資格です。 |
【教授】 | 日本の大学やこれに準ずる機関、高等専門学校において、研究、研究の指導、教育をする活動を行うための在留資格です。 |
【芸術】 | 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動を行うための在留資格です。 (例)作曲家・作詞家・画家・彫刻家・工芸家・著述家・写真家・音楽、美術、文学、写真、演劇、舞踊、映画などの指導を行う者など |
【宗教】 | 外国の宗教団体から日本に派遣された宣教師などの宗教家が、布教その他の宗教上の活動を行うための在留資格です。 |
【報道】 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動を行うための在留資格です。 |
【経営・管理】 | 日本で貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格です。 |
【法律・会計業務】 | 外国法事務弁護士、外国公認会計士、その他日本の法律上の資格を有する者が法律または会計に係る業務に従事するための在留資格です。 (例)外国法事務弁護士、外国公認会計士以外にも、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士など |
【医療】 | 医師、歯科医師、看護師、その他日本の法律上の医療に関する資格を有する者が医療に係る業務に従事するための在留資格です。 (例)医師、歯科医師、看護師以外にも、薬剤師、保健師、助産師、准看護師、歯科衛生士、診療放射線技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士など |
【研究】 | 日本の公私の機関との契約に基づいて研究などの活動を行うための在留資格です。 |
【教育】 | 日本の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校などの各種学校、もしくは設備や編成に関してこれに準ずる教育機関において、語学教育やその他の教育をする活動を行うための在留資格です。 |
【技術・人文知識・国際業務】 | 下記いずれか、または各分野をまたぐ包括的な業務に従事するための在留資格です。 ◆理学、工学その他の自然科学の分野の技術または知識、いわゆる「理系」の分野に属する技術や知識を必要とする業務(「技術」) ◆法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野の知識、いわゆる「文系」の分野に属する知識を必要とする業務(「人文知識」) ◆外国人特有の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とする業務(「国際業務」) |
【企業内転勤】 | 日本に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、日本にある事業所に期間を定めて転勤して行う、 理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術または知識を必要とする業務、もしくは、法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事するための在留資格です。 |
【興行】 | 演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏などの芸能活動や、スポーツなどの興行の活動を行うための在留資格です。 (例)俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手などが日本でテレビに出演する場合、コンサート出演、サイン会を行ったりする場合など |
【技能】 | 産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事するための在留資格です。 (例)外国料理の調理師、コック、外国食品の製造・外国特有の建築、土木・外国特有の製品の製造、修理・宝石、貴金属、毛皮などの加工職人・動物の調教師・石油探査の海底掘削、地熱開発の掘削、海底鉱物探査の海底地質調査・航空機などの操縦者、パイロット・スポーツ指導者、トレーナー・ワイン鑑定者、ソムリエなど |
【技能実習】 | 日本で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転等を目的として在留するための在留資格です。 |
【介護】 | 介護または介護の指導に従事することの在留資格です。 |
【特定技能】 | |
【特定活動/本邦卒業者】 | 日本の大学を卒業した方が、一定の要件を満たすことで、日本での就労を目的として在留するための在留資格です。 |
当社では、上記就労系在留資格全般を取扱っていますが、
本サイトでは、就労系在留資格の中でも、最も多い【技術・人文知識・国際業務】及び、そこに近接している【特定活動/本邦大学卒業者】【高度専門職/1号ロ】の在留資格について、ご紹介していきます。
上記以外の就労系在留資格については、別途お問い合わせください。
なお、【技術・人文知識・国際業務】の在留期限は、5年、3年、1年、3月、があり、
それぞれの状況に応じて審査されて在留期間が決められるため、必ずしも希望した期間の在留資格が取得できるとは限りません。
5年の在留資格が取得できるのは、例えば、上場企業等の安定した企業での就労や、1年ビザ・3年ビザを何度か更新した場合が多いです。
また、3月の在留資格は、例えば研修であったり、比較的短期間での就労が予定されている場合に発給されます。
※「短期滞在ビザ」での就労は認められていません。特にビザ免除国・地域の外国人の方は、ご注意ください。
※【高度専門職】の在留資格は一律5年です。
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◆「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で従事できる仕事
2015年4月の法改正で、【技術・人文知識・国際業務】の在留資格は、それまで「技術」と「人文知識・国際業務」となっていたものが一本化され、それぞれの区分をなくし、包括的な在留資格へと変更になりました。
これにより、専門的・技術的分野における外国人の受入れについて、企業等の受入機関のニーズに柔軟に対応することができるようになりました。
では、【技術・人文知識・国際業務】の在留資格で従事できる仕事には、どのようなものがあるのでしょうか。
その代表的なものとして、
・IT関連の技術者(システムエンジニア、プログラマーなど)
・機械工学などの技術者
・製造、開発技術者、
・機械、システムなどの設計者
・建築、土木などの設計者
・通訳、翻訳
・語学指導(一般の企業や団体が営む語学学校など)
・貿易業務、海外業務、渉外業務
・営業
・企画
・マーケティング
・経営コンサルティング
・広報
・経理、人事、総務、法務
・ファッションデザイナー
・建築家、デザイナー
などがあります。
では、これらの業務に従事するためであれば、誰でも【技術・人文知識・国際業務】の在留資格が取れるか、というと、そういうわけではありません。
どの業務に従事するかにより、それぞれ要件が定められており、その要件を満たすことができなければ、【技術・人文知識・国際業務】の在留資格を取得することはできません。
また、上記にまたがるような業務に従事する場合や、同在留資格の業務範囲内で転職をする場合、2015年の法改正により、わざわざ在留資格を【技術】⇔【人文知識・国際業務】に変更する必要がなくなりました。とはいっても、前述したとおり、上記業務のうちどの業務に従事するかによって、必要な要件は異なります。
複数の業務にまたがって従事する場合は、その要件をそれぞれ満たしておく必要がありますし、同在留資格の業務範囲内で転職をする場合であっても、転職後の業務に必要な要件を満たしている必要があります。
例えば、これまで貿易業務を行ってきた外国人の方が、ITエンジニアをメインとする業務に転職しようとする場合、ITエンジニアとして在留資格を取得するための要件を満たしておく必要があります。
また、経理の専門学校を卒業したことを理由に会社の経理・会計業務に従事していた外国人の方が、通訳・翻訳の業務に従事しようと思っても、翻訳・通訳業務に従事するための要件を満たさないと、通訳・翻訳の業務に従事することを理由とした就労ビザを取得することはできません。
※「技術・人文知識・国際業務」の取得要件については、☞コチラ
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◆”介護”に関する在留資格について
日本でも高齢化社会が問題になり、介護施設等での外国人雇用の需要が高まっている現実があります。
現在、現場で介護の活動を行うための在留資格は、【介護】【技能実習】【特定活動(EPA)】の3種類がありますが、それぞれ目的や要件が異なります。
それぞれの目的や要件を、以下それぞれの概要です。
【特定活動(EPA)】
・インドネシア・フィリピン・ベトナム国籍の方が対象。
・経済連携協定(EPA)により行われる、看護士・介護福祉士の受入れ制度で、EPA制度を利用すれば、資格取得後は看護士・介護福祉士として日本での滞在・就労が可能になります。
・在留期間4年、資格取得後は更新可。
【介護】
・2016年11月法案成立、2017年9月施行。
・介護福祉士を養成する日本の学校(大学・専門学校)を卒業し、「介護福祉士」の資格を取得した外国人のみが対象(養成施設ルートに限定)
※特例として、2017年~2021年末までの介護福祉士養成施設等卒業者は、卒業後5年間は試験なしで介護福祉士としての資格が認められます。
ただし、その5年間、継続して介護等の業務に従事するか、国家試験に合格しなければ、その後の介護福祉士としての登録は認められなくなってしまいます。
・在留期間の更新可。
・「家族滞在」の在留資格申請可。
【技能実習】
・従来の「技能実習ビザ」の目的の範囲内で、2017年11月に新しく「介護」のカテゴリーが追加されたもの。
・在留期間3年(最大5年)、更新不可。
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◆「特定活動(本邦大学卒業者)」の在留資格について
2019年5月より、日本の大学や大学院を卒業した外国人が日本でより幅広い職種に従事できるよう、
新たに「特定活動(本邦大学卒業者)」の在留資格が設けられました。
これまで、飲食店やアパレル店の店頭に立つ場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の要件を満たさないと判断されることも多かったのですが、
インバウンド需要の高まりや外国企業などとの懸け橋としての活躍してほしい」
という需要に後押しされ、
「特定活動46号(本邦大学卒業者)」が新設されたのです。
※「特定活動(本邦大学卒業者)」の取得要件については、☞コチラ